2017年1月31日火曜日

糸魚川市へのふるさと納税が急増

 大規模火災で甚大な被害を受けた新潟県糸魚川市に、ふるさと納税を利用して寄付をする人が急増しています。

 3日間で一昨年の1年分を超える約7千万円の寄付が寄せられたそうです。


 同市へのふるさと納税は、火災の拡大が報じられた12月22日午後から増え続け、火災から3日後の25日17時までで3802件、寄付金額は7086万7726円になりました。

 一昨年1年間で寄せられた寄付は1096件、約4100万円で、火災後の3日間でそれを大きく超える寄付額が集まったことになります。

 寄付の急増を受け、同市はホームページ上に「温かなご支援、激励のお言葉、心より感謝申し上げます。皆様よりいただいた寄附金は、当市で平成28年12月22日に発生しました『糸魚川市駅北大火』で被災された方々の支援と、復旧・復興に役立たせていただきます」とのメッセージを発表しました。


 ふるさと納税は、生まれ育った故郷や思い入れのある地域を応援できる制度としてスタートしました。

 その後、地方から送られる返礼品が人気となって制度が普及したことから、地方間による「人気取り競争だ」として、制度の趣旨がないがしろにされているとの批判も根強くあります。

 平成20年にスタートした同制度が一気に普及したのは、東日本大震災がきっかけでした。被災地を応援したいと考える人が同制度を利用したことで、制度の利用者は震災前の3倍、寄付額も約2倍へと急増しています。

 また、昨年4月に発生した地震によって大きな被害を受けた熊本県や各市町村にも約30億円の寄付が集まりました。



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2017年1月30日月曜日

日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類

はじめに

 平成28年1月1日以後に支払うべき給与等及び公的年金等から、非居住者である親族(以下「国外居住親族」といいます。)に係る障害者控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は扶養控除(以下「扶養控除等」といいます。)の適用を受ける居住者は、国外居住親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付又は提出することが義務化されました。

 なお、これら関係書類を勤務先等に提出又は提示した場合には、税務署に対しては添付又は提示を要しないこととされています。

 これら税務関係書類の提出又は提示(以下「提出等」といいます。)についての留意点について解説します。


Ⅰ 親族関係書類の定義

 「親族関係書類」とは、次の①又は②に掲げるいずれかの書類で、納税者の親族であることを確認できる書類 (外国語により作成されている場合には、訳文を添付)とされます。)

① 納税者の親族が日本人である場合

 戸籍の附票の写しその他国又は地方公共団体が発行した書類でその非居住者がその居住者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し

② 納税者の親族が外国人である場合

 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限ります。)
 (具体例:戸籍謄本その他これらに類する書類,出生証明書,婚姻証明書等)


Ⅱ 送金関係書類の定義

 「送金関係書類」とは、次の①又は②に掲げるいずれかの書類で、その年における非居住者である親族の生活費又は教育費に充てるためのその居住者からの支払が、必要の都度行われたことを明らかにするものとされます。

① 金融機関が行う為替取引によりその居住者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類(具体例:送金依頼書等)

② クレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその居住者から受領したことを明らかにする書類(具体例:クレジットカード(いわゆる家族カード)利用明細書等)


Ⅲ 実務上の留意点

1 扶養控除等申告書の再度提出

 扶養控除等申告書の「生計を一にする事実」欄には、居住者がその年において国外居住親族に送金等をした額の総額を記載することとされていますが、これは年末調整の際に記載するため、当初提出された申告書にはこの記載がされていません。

 このため、扶養控除等申告書の記載内容に異動がない場合であっても、年末調整の際には、居住者から、次のいずれかの方法により「生計を一にする事実」欄の記載がされた扶養控除等申告書の提出を受ける必要があります。

① 当初提出された扶養控除等申告書をその居住者に返却して、国外居住親族への送金等の総額を追記して再度提出する方法

② 国外居住親族への送金等の総額を記載した扶養控除等申告書を別途提出する方法


2 非居住者である親族が16歳未満である場合

 所得税法においては、非居住者である親族が16歳未満である場合であっても、居住者がその親族に係る障害者控除の適用を受けようとする場合には、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を提出等してもらう必要があります。

 なお、地方税法では、原則として、控除対象外国外扶養親族(国内に住所を有しない扶養親族のうち16歳未満である者)について、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を住所所在地の市区町村に提出することとされます。


3 扶養親族が留学中である場合

 扶養親族が国外に留学している場合、その留学が短期留学(1年未満)であれば、その扶養親族は居住者とされますので、国外居住親族には該当しません。

 そこで、短期留学中の扶養親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」の提出等は必要ありません。

 ただし、勤務先においては、短期留学(1年未満)で別居している扶養親族が生計を一にしているか否かを確認するために、「送金関係書類」を提示等してもらうべきでしょう。


4 国外扶養親族が複数いる場合

 国外居住親族の代表者の方にまとめて送金等がされている場合には、その代表者の方のみの「送金関係書類」に該当し、その代表者の方以外の国外居住親族に係る「送金関係書類」には該当しないこととされます。

 そこで、国外扶養親族が複数いる場合には、各人別の「送金関係書類」が必要となります。

             参考文献:「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(平成27年9月:国税庁)」





2017年1月27日金曜日

熊本地震で被災した財産の評価に注意!

 2016年分の全国平均の路線価は8年ぶりの上昇となりましたが、4月に熊本県を中心に発生した熊本地震で被災した財産の評価については、地震発生前(2016年4月13日以前)に相続等又は贈与により取得した財産は、地震発生前の価額(課税時期の価額)で評価することから、2016年分路線価等に基づき評価を行います。


 ただし、一定の要件に該当する場合には、災害減免措置の適用があります。


 災害減免措置とは、災害によって受けた住宅や家財の損害金額がその時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下のときに、その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、その年の所得税が軽減又は免除される制度です。


 適用を受けるには、確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。


 なお、給与所得者や公的年金等の受給者が災害による被害を受けた場合は、一定の手続きをすることにより、源泉所得税の徴収猶予や還付が受けられる場合があります。


 一方、熊本地震発生後(2016年4月14日以後)に相続等又は贈与により取得した財産は、その財産を取得した時の被害状況に応じて個別に評価することとされています。


 土地等の評価は、2016年分の路線価等による価額を基に、財産を取得した時の被害の状況(隆起・陥没・土砂崩れ等)に応じて評価することができます。


 また、家屋の評価は、2016年度の固定資産税評価額を基に、財産取得時の被害の状況に応じて評価することができます。


 被害の状況に応じた土地等の評価では、例えば、隆起・陥没等による被害の場合、その土地等の価額から原状回復費用相当額(原状回復費用の見積額の80%相当額)などを控除して評価できます。


 また、土砂崩れ等による被害の場合は、原状回復が可能であれば、その土地等の価額から原状回復費用相当額(土砂撤去費用等の80%相当額)などを控除して評価でき、原状回復が困難であれば、付近の山林等の価額を参考に評価できますので、詳細は納税地の所轄税務署にお問い合わせください。





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2017年1月26日木曜日

平成29年度税制改正 個人所得課税編

 平成28年12月8日、平成29年度税制改正大綱が発表されました。

 先ず、「個人所得課税」について、主な改正項目につき、内容を概観してみます。


●配偶者控除等の見直し

 配偶者控除については、合計所得金額1,000万円を超える居住者については、適用できないこととし、居住者の合計所得金額が900万円を超えると38万円(老人配偶者48万円)の控除額が徐々に縮減し、1,000万円超ではゼロになる、3段階で逓減する仕組みになっています。

 また、配偶者特別控除ですが、配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下でも9段階で逓減しながら控除が受けられますが、上記の居住者の合計所得金額に応じて控除額も変わってきます。

 例えば、居住者の合計所得金額900万円以下で配偶者の合計所得金額が95万円超100万円以下であれば26万円の控除、となっています。

 この改正は、平成30年分以後の所得税からの適用となっています。


●積立型の少額投資NISAの創設

 制度の内容は、積立投資限度額年間40万円、期間20年、その間の配当、譲渡等は非課税、但し、譲渡損はないものとする、です。

 現行のNISAとは選択適用となっています。

 上記改正は、平成31年分以後の所得税からの適用となっています。


●リフォーム減税の拡充

 既存住宅(特定の増改築等含む)の耐震改修・省エネ改修に加え、一定の耐久性向上改修工事を実施した場合、ローンの利用による減税額(税額控除)は最大62.5万円、自己の資金による場合は最大50万円となる措置が講じられています。

 また、固定資産税(工事翌年度)も3分の2減額になります。

 一定の耐久性向上改修工事とは、50万円を超える工事で、①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事又は給排水管等に関する維持管理・更新を容易にするための工事で、認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づくものであること等、です。

 この改正は、増改築等をした居住用家屋を平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供した場合に適用となっています。



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2017年1月25日水曜日

10年で年金受給権ができる

◆新たに64万人が年金受給

 年金の受給資格を得るのに必要な保険料の納付期間を25年から10年に短縮する改正年金機能強化法が成立しました。

 老齢基礎年金の納付期間は現在の25年から10年に短縮されました。

 平成29年8月から施行され10月に第1回目が支払われます。

 日本では「無年金者」(無年金見込者含む)は118万人と推計されています。

 65歳以上の無年金者の約6割は保険料納付期間が10年未満です。

 平成29年8月以降は25年の年金受給資格期間を充たさない無年金の高齢者も10年以上の加入期間(免除・猶予・カラ期間を含む)があれば保険料を納めた期間に応じた年金が支給されることになります。


◆外国の年金加入期間

 外国での年金受給資格期間はアメリカの約10年、イギリスでは一定以上の収入の人が加入する事となっており加入期間は特になく、ドイツの加入期間は5年、フランスやスウェーデンは加入期間の決まりはありません。

 今後少子高齢化の日本では労働力人口が減少し、保険料収入も縮小すると考えられます。

 そして他国からの外国人の受け入れ人数が増えて行くものと考えられます。

 他国の方が日本で働き、本国に戻って65歳から日本から年金が受けられたら魅力的でしょう。


◆いくら受給できるか


 新たに受給できるようになるのは保険料を払った期間が10年以上25年未満の人で、過去にさかのぼっては受給できません。

 年金額は保険料の納付期間に応じて支払われます。

 国民年金の場合は加入期間が10年で月約1万6千円、20年で約3万2千円、40年では満額の6万5千円となっており、10年で支給された額では生活費の補てん程度にしかなりません。

 また、10年で受給ができるなら満額まで納めなくともよいと考える人も出てきそうです。

 手続は加入が10年以上あった方は年金の請求書が送られてきますので、記入押印して年金事務所に提出します。

 しかし保険料免除やカラ期間を含めて10年以上になる方には請求書は送られてこないので自身でカラ期間の確認を行い、請求する事が必要です。


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2017年1月24日火曜日

積立NISAの創設決定

 少額投資非課税制度(NISA)の非課税期間を20年に延ばす新制度「積立NISA」を設けることが決まりました。


 平成29年度税制改正大綱に盛り込まれています。


 導入を主導した金融庁は新制度で貯蓄から投資への流れが加速することを期待していて、これまで投資と無縁だった若い世代の長期的な資産形成を促します。


 現行のNISAは、株式や投資信託の売却益や配当益について年120万円を上限に5年間非課税とする制度。新たな積立NISAでは上限額は40万円と減りますが、期間が20年間と延び、非課税となる投資の総額が現行の600万円から800万円に拡大されます。


 両方の制度を併用して使うことはできず、「年120万円で5年」か「年40万円で20年」のどちらかを選択することになります。


 現行のNISAの年間上限枠である120万円を使い切っている人は少なく、5年の短期間では政府が目指す個人の資産形成への効果は少ないとも指摘されていました。

 
このため、手元資金の少ない若年層も参加しやすい積立型が新たに提案されていたのです。



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2017年1月23日月曜日

災害時の税制特例が恒久化

 地震などの自然災害で被害を受けたときに適用できる税制上の特例が、平成29年度税制改正大綱に盛り込まれました。


 被災者が適用できる特例はこれまで災害が起きるたびに特別法として立法化していましたが、被災してから法成立まで時間がかかってしまうことなどを理由に、恒久化を望む声が各方面から上がっていました。


 自然災害などによって納税が難しくなった個人や企業に対しては、所得税や法人税などで納税猶予や減免の特例が認められます。


 またそれ以外にも、東日本大震災のようにきわめて甚大な被害が発生した災害については「災害特例法」を制定し、被災地や復興活動に対する寄付金控除の拡充や、被災者に対するさまざまな所得控除特例を設けることがあります。


 しかしこれらの税優遇はすべて災害が起きてから特別法を制定して適用するため、機能するまでにある程度の時間がかかってしまいます。


 こうした状況を受けて、税制改正に向けた各業界からの要望では災害税制の恒久化を求める声が上がっていました。


 大綱にはさまざまな税目で、災害時の特例を恒久法として定める内容が盛り込まれています。


 国税の納期限延長措置などに加えて、法人税や相続税、固定資産税などで被災者に対する優遇が認められます。


 盛り込まれた内容は通常国会で恒久法として成立する予定です。


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2017年1月20日金曜日

相続税の課税対象者が倍増

 平成27年に死亡した129万444人のうち、相続税の課税対象となったのは10万3043人で、前年の5万6239人からほぼ倍増したことが国税庁の発表で明らかになりました。

 相続税の〝大衆化〟が初めて数字となって示されたことになります。

 平成27年の死亡者のうち、相続税の納税が必要な相続に掛かる被相続人数(10万3043人)の割合は8%で、前年の4.4%から大きく高まりました。

 これは27年1月に相続税が課税されるかどうかのラインである基礎控除額が「3千万円+(法定相続人×600万円)」に引き下げられたことで、課税対象者の範囲が広がったことが原因です。

 相続増税の影響で、それまでなら課税対象ではなかった多くの人に税金が掛けられていることが分かります。

 また、被相続人一人当たりの税額は前年の2473万円から1758万円に下がったものの、課税総額は同1兆3908億円から1兆8116億円にまで増加しました。

 なお、金額ベースでみた相続財産の種類の構成割合は、土地38%、家屋5.3%、現金・預貯金等30.7%、有価証券14.9%、その他11%でした。


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2017年1月19日木曜日

名ばかり中小企業を締め出し

 中小企業にだけ認められた法人税の租税特別措置について、その対象から直近3事業年度の所得平均が15億円を超える企業を除外することになりました。

 資本金を減らすことで名目上の中小企業となって税優遇を受けようとする〝名ばかり中小企業〟を防止することが狙いです。

 平成29年度税制改正では、各事業年度の所得のうち800万円以下の部分について、本則19%の法人税を15%に軽減する中小企業の軽減税率が2年間延長されました。

 この制度のほか、研究開発税制や設備投資税制などには、財務状況が脆弱な中小企業を支援するために減税幅などを大企業よりも大きくするなどの特別措置が設けられています。

 これらの軽減措置は資本金1億円以下の「中小企業」が受けられる制度です。

 しかし、いわゆる大企業が資本金を1億円以下に抑えて節税しようという動きがあったため、今後は直近3事業年度の所得平均が15億円を超える企業は中小企業に該当しないこととされます。

 大企業が資本金を減らした事例としては吉本興業が資本金125億円を1億円にしたケースがあります。

 また、経営不振に陥っていたシャープは1218億円の資本金を1億円に減らすことを計画しましたが、批判が高まり5億円とすることで落ち着きました。


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2017年1月18日水曜日

2016年度税制改正:加算税制度の見直しに注意!

 2016年度税制改正により、加算税制度の見直し(加算税の賦課割合の変更及び加算税の過重措置の創設)が行われますので、ご注意ください。

 これらは、いずれも2017年1月1日以後の法定申告期限が到来する国税について適用されます。

 なお、2016年度税制改正においては、過少申告加算税・無申告加算税・重加算税を対象としており、不納付加算税は見直しの対象にはなっておりません。

 加算税の賦課割合の変更については、調査通知以後かつ更正予知前にされた、修正申告に基づく過少申告加算税については、改正前は不適用であったものが、改正後は5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%)とされます。

 また、調査通知以後かつ更正予知前にされた、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税については、改正前は5%であったものが、改正後は10%(納付すべき税額が50万円を超える部分は15%)とされますので、ご注意ください。

 加算税の過重措置の創設では、期限後申告や修正申告(更正予知によるものに限る)、更正、決定等があった場合において、その期限後申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る)又は重加算税を課されたことがあるとき(以下:一定の場合)は、その期限後申告等に基づき課する両税の課税割合にそれぞれ10%加重する制度が創設されました。

 具体的には、期限後申告等に基づき課される無申告加算税(一定の場合に限る)は、改正前の15%(納付すべき税額が50万円を超える部分は20%)から、改正後は25%(納付すべき税額が50万円を超える部分は30%)とされ、また、期限後申告等に基づき課される重加算税(一定の場合に限る)は、改正前の過少申告加算税・不納付加算税が35%、無申告加算税が40%から、改正後は同45%、同50%とされております。

 なお、この過重措置は、加算金制度(地方税)における不申告加算税及び重加算金についても、同様の見直しが行われておりますので、ご注意ください。


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2017年1月17日火曜日

定率法が廃止された減価償却制度に注意!

 2016年度税制改正により、2016年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物並びに鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る)の減価償却方法について、定率法を廃止する見直しがされております。


 したがいまして、建物附属設備及び構築物の償却方法は、定額法のみとなり、鉱業用減価償却資産の償却方法は、定額法又は生産高比例法によることになります。

 例えば、所有する建物附属設備や構築物に対して大規模な改修工事等を行い、資産計上が必要な支出があった場合(資本的支出)には、原則として、既存の減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして減価償却を行い、定率法や旧定率法を適用する建物附属設備や構築物に対して、2016年4月1日以後に行われる資本的支出については、定額法を適用します。


 ただし、2016年4月1日以後に行われる資本的支出が、旧定率法又は旧定額法が適用される2007年3月31日以前に取得した建物附属設備又は構築物に対する場合には、その建物附属設備又は構築物の取得価額に資本的支出の金額を加算して減価償却を行うことができます。

 2007年4月1日以後に取得した建物附属設備又は構築物に対する資本的支出は、原則的取扱いとなり、定額法のみ適用されます。

 なお、2012年4月1日以後に取得した既存の減価償却資産に対して資本的支出を行った場合の特例や2007年4月1日以後に同一の事業年度内に複数の資本的支出を行った場合の特例については、いずれも既存の減価償却資産と資本的支出の両方に定率法を採用が要件となります。


 したがいまして、定額法しか適用できない2016年4月1日以後の建物附属設備及び構築物に対する資本的支出については、これらの特例は適用できません。

 基本的に建物附属設備及び構築物に対する資本的支出は、定額法のみ適用でき、2007年3月31日以前に取得した建物附属設備及び構築物に対する資本的支出の場合には、既存の建物附属設備及び構築物の取得価額に加算して、旧定率法又は旧定額法による減価償却を行うことができますので、該当されます方は、ご確認ください。


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2017年1月16日月曜日

働く女性の率が大幅に上昇

◆労働人口の変化

 総務省の労働力調査によると、平成27年の女性の労働力人口は2842万人と前年に比べ18万人増加(前年度比0.6%増)しており男性は3756万人と7万人減少しています。

 労働力人口は前年より11万人増加(前年度比0.2ポイント増)の6598万人で、労働力人口に占める女性の割合は43.1%(前年比0.2ポイント上昇)となっています。


◆年齢別労働力率

 厚生労働省がこのほど公表した「平成27年版働く女性の実情」によると女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は49.6%(男性は70.3%)と前年に比べて0.4ポイント上昇しています。

 労働力率を年齢階級別でみると、いわゆるM字カーブの底にあたる年齢は平成20年から26年は35歳~39歳でしたが、平成27年は30歳~34歳となっておりM字の底の値は0.4ポイント上昇し、71.2%と2年連続し7割を超えています。

 25歳~29歳については初めて8割を超え、全ての年齢階層の比較で過去最高となっています。

 10年前と比べると各階層で労働力率は上昇していますが、上昇幅が最も大きいのは60歳~64歳で平成17年から10.5ポイント上昇しています。

 配偶関係別の労働力率は、未婚者が63.3%、配偶者のいる女性が51.4%、死別・離別者は29.6%です。

 年齢階層別で比べると未婚者は50歳~54歳が13.8ポイント上昇と上り幅が大きくなっています。

 有配偶者の女性では30歳~34歳が12.3ポイントの上昇と上り幅が大きくなっています。


◆最近10年間の働く女性の年齢階層

 この10年間の変化を平成17年から22年までの5年間と平成22年から27年までの5年間に分けてみると、前半では30歳~34歳と35歳~39歳が増え、配偶関係別の有配偶者でみると、前半は変化が少ないものの後半になると労働力率が上昇している事が分かり、育児休業や時間短縮制度が企業においても浸透してきている様子が窺えます。

 出産や子育ての為に離職する女性が以前と比べて少なくなっている傾向が分かります。



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2017年1月13日金曜日

冬の職場の健康管理

◆寒さと健康管理

 冬季においては職場の健康管理の面で、寒さに関連するインフルエンザ等の感染症や循環器疾患対策を考える必要があります。

 感染症は誰でも起こりますし、寒さで循環器疾患の発症も高まります。

 冬季に職場で流行する感染症はインフルエンザ、ノロウイルス等ですが、これらは従業員達に周知させて職場の中に感染を拡大しないようにすることが大事です。


◆感染症の場合の対処

(1)食事の前やお手洗いの後、咳・くしゃみの後には石鹸で手を洗う

(2)咳が出る時はマスクをする

(3)発熱、下痢等の症状がある時は会社に伝えて出勤を控える。仕事中に発熱した時は別室に行くか、帰宅をする

(4)インフルエンザ予防接種の奨励

(5)万一、嘔吐が発生したらすばやく消毒など適切な処置をする


◆循環器疾患発症の場合の対処

 人間の体は寒くなると血管を収縮させ体温の低下を防ごうとします。

 また、交感神経系が刺激されて心臓の活動が活発になる為、結果として血圧が上昇しやすくなります。

 それが冬季に循環器系の疾患が増える要因です。

 特に寒暖差が大きいとリスクが高くなります。

 日頃から循環器系の疾患のある方や高血圧症、喫煙・飲酒等の習慣のある方は一層の注意が必要でしょう。


◆日常の注意として

 職場では次の様な事に気をつけて冬場を元気に乗り越えたいものです。

(1)管理者の対応で不調を察する・・・・朝のミーティング等で上長が従業員の体調不良が無いかを確認して不調者には早めに対応できるようにする。

(2)労働者側の対応・・・・寒さ対策と自主健康管理が大事です。

 寒くなると体が冷え風邪等を引き起こしやすくなります。

 また、暖房で汗をかき、そのままにして体が冷えてしまったと言う事もあります。

 年始の暴飲暴食に気をつけて、睡眠不足にならぬよう自ら健康管理に努めることが大事です。

 感染症等についても職場での注意を遵守しましょう。



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2017年1月12日木曜日

相続税調査で狙われる海外資産

 平成27年度の相続税の実地調査1万1935件のうち、海外資産を持っている人への調査は859件だったことが国税庁の発表で明らかになりました。


 海外資産関連調査は3年連続上昇し、統計が開始された平成13年以降で最多。


 27年度の859件は、13年(117件)の7.3倍にもなっています。


 海外資産関連の調査859件で申告漏れなどの非違が発見された件数は117件。


 申告漏れ課税価格は47億円、非違1件あたりの価格は3999万円でした。


 地域別非違件数をみると、北米が61件で最多。


 アジア40件、欧州12件、オセアニア8件と続きます。


 非違があった財産は、現金・預貯金が65件で最多で、有価証券33件、不動産32件でした(「その他」42件)。


 国税当局は、

①相続や遺贈で取得した財産に海外資産がある、

②相続人、被相続人が国外に居住している、

③海外資産に関する資料情報がある、

④外資系金融機関との取り引きがある

といった国外資産が絡む相続への監視を強めています。


 国際課税に関する今後の方針を定めた「国際戦略トータルプラン」で国税当局は資産フライトに攻め入る姿勢を打ち出しており、今後は海外資産への調査がさらに強化されていくことになります。



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2017年1月11日水曜日

国外居住10年以下は相続税課税

 富裕層の国境を超えた税逃れを防止する取り組みの一環として、国外に住む人への相続税の課税が強化されます。


 課税要件となる国外居住年数を見直し、10年超国外に住んでいなければ保有する海外資産に日本の相続税が課されるよう見直されます。


 現行制度では、相続人と被相続人の両方が5年を超えて海外に住んでいると、海外資産に対しては日本国内での相続税は課されません。


 どちらか一方でも日本に住所があるか、海外に居住して5年以内であれば課税対象。また要件を満たしていても、国内にある財産には日本の相続税がかかります。


 新制度は、現在5年超となっている居住期間の要件を10年超に引き上げるというもの。


 これまでは親子ともに海外に移住して5年を超えれば相続税の対象外となりましたが、今後はたとえ9年住んでいても日本の相続税が課せられることになります。


 この改正は来年4月以降に相続や贈与によって取得した財産に適用される予定です。



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2017年1月10日火曜日

米国会社の日本法人が合同会社である理由

◆米国の日本子会社は合同会社形態が多い

 米国ウォルマートの日本法人である西友も、米国ケロッグ社の日本法人の日本ケロッグも、会社の形態は“合同会社”です。

 平成18年の会社法により新しく設けられた形態である合同会社は、日本版LLC(Limited Liability Company)とも呼ばれ、「有限責任」、「(機関がシンプルなので)迅速な意思決定」、「利益や権限の配分を自由に設定(=内部自治原則)」等のメリットがあり、小さなビジネスにとっては使い勝手がよい事業形態と言えます。

 一方、デメリットとしては、株式会社に比べて信頼性が低く見られがち、株主総会や決算書の承認手続きなどが不要なので何となく内部手続きにもしまりがないなどが挙げられます。


◆親会社の事情で合同会社が選ばれる理由

 米国の会社が日本の子会社の会社形態として合同会社を選ぶ理由の一つに、米国本国における税務上のメリットがあります。

 アメリカの税法には、チェック・ザ・ボックス規則というものがあり、要件に合えば、日本の子会社所得をパススルー課税(企業体には課税されずその構成員の所得として課税する)に選べる制度があります。

 (注:日本の合同会社は普通に法人税が課税されます。日本での課税がなくなるわけではありません。)

 米国税制で合同会社はパススルー課税の対象外として列挙されていないためアメリカ親会社側で税制上のメリットが生じます。

 効果としては、立上げ初期時の欠損を支店と同様に米国株主の利益と相殺できることにあります。

 実際に支店登記すれば本店の資本金で均等割課税されるのでその分不利となりますが、パススルーであればそれを避けて米国でメリットを享受できます。


◆国外進出時に検討すべき大事なことの一つです

 米国会社が日本進出する形態は必ずしも合同会社だけでなく、株式会社もあります。

 会社形態の選択に際しては、税務上のメリット・デメリットの側面のみではなく、商業上その他の面からの検討も必要です。

 外国へ事業進出する際には、本国および進出先の各制度をよく研究した上で、最善の選択を目指すことが肝要となります。


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2017年1月6日金曜日

遺言書が身近に? 自筆証書遺言の方式緩和

◆花押を押した遺言、裁判で無効確定

 印鑑の代わりに「花押」が記された遺言書の有効性が争われた裁判で、今年6月、最高裁判所が「重要な書類に花押を使うという意識が社会の中にあるとは認めがたい」として、遺言書を無効とする初めての判断を示しました。

 遺言書の方法には大きく分けて「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3つの方式があり、テレビドラマなどでよく目にする遺言者本人が全文自筆で作成しているものが「自筆証書遺言」です。

 一般的な「自筆証書遺言」の特徴として、自分だけで作成でき費用がかからず手軽な点が挙げられますが、内容、日付、氏名全てを自筆する他、印鑑を押印することなど、遺言書として認められるための様式が細かく定められています。

 そのため、冒頭の例のように、せっかく遺言書を作っても裁判で無効とされてしまう例も少なくありませんでした。


◆自筆証書遺言の方式が緩和されるか

 こうした問題もあり、現在取りまとめられている「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」では、自筆証書遺言の方式について次のように緩和する措置が検討されています。


◆一部ワープロ打ちが可能に

 現行の制度では遺言の全文を自筆で記載しなくてはならず、この点をネックに感じて公証役場が作成してくれる「公正証書遺言」を選択する例も少なくありませんでした。

 今回の中間試案では、財産の特定に関する部分(不動産や預貯金口座の表示など)は、ワープロ打ちでも可とされています。

 また現在、遺言書の加除訂正による変更箇所には「署名及び押印」が必要とされていますが、署名のみで足りるものとし、作成時の負担が軽減されると見込まれています。


◆自筆証書遺言の保管制度の創設

 現在、自筆証書遺言は作成後、自分で大事に保管するか、信頼できる人に預けて保管してもらうしか方法がありません。

 そして実際に相続が発生すると、これを家庭裁判所に提出し、遺言書の形式などに関する事実を調査、遺言書の現状を確保するための検認手続を受ける必要があります。

 中間試案では新たに公的機関による保管制度を創設し、遺言者が保管の申出をすることができるようになる他、ここで保管された遺言書については検認を要しないとされ、手続きの煩雑さが解消されることに期待がもたれます。



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2017年1月5日木曜日

スイッチOTC薬控除の取組要件の確認!

 2016年度税制改正において、軽い症状であれば病院に行かず市販薬で治療するセルフメディケーション(自主服薬)推進のための施策として、「スイッチOTC薬控除」(セルフメディケーション税制)が創設されました。

 そもそもセルフメディケーション税制とは、自分や自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために「スイッチOTC薬」を購入した場合、年間1万2,000円を超える部分の金額を、8万8,000円を限度として、その年分の総所得金額等から控除できる制度をいいます。

 対象者は、健康の保持増進や疾病の予防への一定の取組みを行う個人となります。

 ここでいう「一定の取組み」とは、特定健康診査(メタボ健診など)、予防接種(インフルエンザなど)、定期健康診断(事業主健診)、健康診査(人間ドックなど)、がん検診などの検診等又は予防接種をいいます。

 つまり、この特例の適用を受けるためには、まず特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん健診などに取り組んでいることが要件となります。

 ただし、サラリーマンの場合、会社が実施する定期健康診断などにより取組要件はクリアできますが、専業主婦や学生などの場合はこれらの取組みを行う機会が少ないと思われますので、スイッチOTC薬を購入しても控除の対象になるのかといった疑問がございます。

 この点につきましては、「居住者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その居住者がその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組みとして政令で定める取組みを行っているとき」は、特例が適用されると法律で規定しております。

 つまり、居住者(納税者本人)が取組みを行うことが要件ですが、その居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が取組みを行うことは要件とはされていません。

 したがいまして、この特例の控除を受ける納税者以外が購入したスイッチOTC薬も控除の対象になりますので、該当されます方は、ご確認ください。

 また、この適用期間は2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間となっております。



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2017年1月4日水曜日

種類株式 会社の実態に合った活用

 株式会社は、権利内容の異なる複数の種類の株式を発行することができます。

 会社法は、九つの種類株式を規定しています。

 以下、幾つかその内容を概観してみます。


●種類株式の特徴とその発行手続き

(1)譲渡制限株式:

 株式譲渡の自由を制限した株式です。
 非公開会社にあっては、無制限に好ましくない者が会社に入ってくることを防止するためのもので、日本のほとんどの会社がこの譲渡制限会社です。

(2)議決権制限株式:

 原則、株主は1個の議決権を持っていますが、一定の事項、又はすべての事項について議決権を制限することができる株式です。

(3)配当優先株式:

 配当については優先してもらうことができる株式です。

(4)拒否権付株式:

 ある決議事項について、拒否権を発動できる株式です。
 拒否できる権利のある株式ですが、決議はすることはできません。
 つまり、何も決めることができない株式でもあります。

その他、

(5)取得請求権付株式、
(6)取得条項付株式、
(7)全部取得条項付株式、
(8)役員選解任付株式、
(9)残余財産分配優先株、

などがあります。

 この種類株式を発行するには、種類株式の内容に応じて、株主総会の特別決議、特殊決議、さらには、株主全員の同意を要件とするものもあります。

 なお、種類株式は、登記事項となっています。

 これは、中小企業にとっては面倒な手続きです。

 また、運用面からいってもその手続きは煩雑です。


●属人的株式とその有用性

 上記の種類株式とは別に、株式のすべてに「譲渡制限」が付されている会社は、株主ごとに異なる取扱いをすることができます。

 これが「属人的株式」と呼ばれるものです。

 種類株式は、その株式を誰が保有しても権利の内容は同じですが、この属人的株式は、社長の持っている株式1株につき1000個の議決権を付与する、というように株式の保有者によって権利の内容を変容させることができる株式です。

 そして、その者が死亡すれば特別な手続きを踏むことなく、属人的株式は普通株式に戻ります。

 また、属人的株式は、登記が不要であり、単に、定款変更(特別特殊決議)だけで導入することができます。

 種類株式よりも柔軟な機関設計ができ、中小企業はもとより事業承継にあたっても活用できる余地は大と考えます。


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