2016年6月23日木曜日

税の専門家のうっかりミス続出

 税の専門家でも税金に関するミスを犯すことを前提に、税理士業界には顧客からの損害賠償請求の負担を緩和する「税理士職業賠償責任保険」(税賠保険)があります。


 日本税理士会連合会(日税連)はこのほど、この税賠保険の加入者が顧客から賠償請求を受けた事例を公表しました。

 毎年失敗事例が多い税目は消費税です。難解な税務処理ではなく、単純ミスが目立ちます。

 平成26年4月に資本金100万円で設立されたA社は、決算期を12月に設定していました。

 税理士とはその年の6月に顧問契約を締結。この税理士は、A社が消費税の還付を受けるために課税事業者になる必要があることを認識していました。

 しかし、提出期限である年内に「消費税課税事業者選択届出書」を提出しませんでした。

 年末に国税電子申告システム「e―Tax(イータックス)」で電子送信しようとしたのですが、年末・年初はシステム停止していることに気づき、「停止期間は無理なのだから、年明けに送信すればよい」と誤認し、年が明けて1月5日に送信したそうです。

 届出書が無効であることを2月に税務署から通知されました。

 また、消費税の「原則課税」と「簡易課税」に関連する届出でミスをしてしまう税理士も多いようです。

 簡易課税制度は、年間の課税売上が5千万円以下の事業者が、課税売上高と、業種ごとに定められた「みなし仕入率」で支払い消費税を計算する方法。実際に支払った消費税額以上の額を控除できることがありますが、開業当初など設備投資や仕入れが多い時期は原則課税を選び、実際に支払った消費税額を差し引いた方が税額が少なくて済みます。

 B社は平成22年7月、顧問税理士を通じて「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出。

 25年には太陽光発電設備の投資計画を立てて税理士に相談し、27年に太陽光設備を取得、売電を始めました。

 ここで問題になったのは、多額の設備投資があることが分かっていた以上、原則課税の適用事業者になるべきだったにもかかわらず、税理士が届出を失念したことです。

 結果的にB社は過大な税金を納めることになってしまいました。

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