2015年10月10日土曜日

国外転出をする場合の譲渡所得等の特例


国税庁は、国外転出をする場合の譲渡所得課税の特例の取扱いを整備するため、「所得税基本通達の制定についての一部改正について(法令解釈通達)」を公表しました。
この背景には、2015年度税制改正において、金融資産1億円以上の富裕層は出国時に含み益を課税する「国外転出をする場合の譲渡所得課税の特例」が創設されました。

同特例は、租税条約上、株式等を売却した者が居住している国にそのキャピタルゲインに関する課税権があることを利用して、巨額の含み益を有する株式等を保有したまま国外に転出し、キャピタルゲイン非課税国で売却するといった課税逃れを行う者が散見されることから、国外に転出する一定の高額資産家を対象に国外転出時に未実現のキャピタルゲインに対し、特例的に課税を行うため創設されたとみられております。
改正通達では、国外転出時に譲渡又は決済があったものとみなされた対象資産の収入すべき時期や、国外転出直前に譲渡した有価証券等の取扱い、有価証券等の範囲、非課税有価証券の取扱いが整備されております。
さらに、国外転出の時における有価証券等の価額、外貨建ての対象資産の円換算、修正申告等をする場合における対象資産の国外転出時の価額等、国外転出後に譲渡又は決済をした際の譲渡費用等の取扱いなども新設されております。
この中で、対象となる国外転出の時において、国外転出をする居住者が有している有価証券等の範囲として、
①受益者等課税信託の信託財産に属する有価証券
②一定の任意組合等の組合財産である有価証券
③質権や譲渡担保の対象となっている有価証券など、その譲渡による所得がその居住者の譲渡所得等として課税されるものは、有価証券等に含まれることを示しております。
なお、この改正通達では、所得税法第60条の3(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)及び所得税法第60条の4(外国転出時課税の規定の適用を受けた場合の譲渡所得等の特例)についても取扱いが整備されています。