2015年7月2日木曜日

「二重非課税防止」の実務


二重非課税防止の趣旨について、具体的に創設された規定としては「出国時の譲渡所得課税の特例制度」があり、この規定が平成27年7月1日以後の国外転出者に適用されることになっています。この新設規定の主たる内容は、次のとおりです。
1億円以上の有価証券等(対象資産)を保有する者が、平成27年7月1日以後に非居住者となるような国外転出した場合に未実現利益に課税することを原則とします。
②①の課税は、相続・贈与により非居住者に対象資産を取得させた場合にも同様の課税が行われます。
一時的な出国予定者又は納税資金が不十分な者は、納税管理人の届出の下で出国時までに担保を提供すれば納税猶予の特例が受けられます。
しかし、実際に適用される実務においては、主たる内容だけでは運用できませんので、ここで実務上主として必要な内容を補充しておく必要があります。
1.対象資産の実務
譲渡があったとみなした価額1億円以上の有価証券・未決済の信用取引・デリバティブ取引が対象資産となります。しかし、転出者に係る申告が、国時にいわゆる準確定申告を行う者と、税管理人を置いて出国後通常の確定申告を行う者に分かれます。そして、1億円の判定基準については、①の者は、原則として国外転出予定日から起算して3か月前の日に対象資産の決済があったものとします。②の者、国外転出時に対象資産の決済があったものとして判定基準を算定します。
2.帰国後の国外転出時課税の取消し
国外転出時課税の申告をした者が国外転出の日から5年以内に帰国し、引き続き所有等している対象資産については、国外転出時課税の適用はなかったものとして、帰国日から4か月以内に更正の請求をすることにより課税の取消しをすることができます。
 さらに、納税猶予の期限の延長の届出書を提出している場合には、5年の期間を10年に延長することができます。
 しかし、国外転出時課税に係る所得の計算につき隠ぺい又は仮装の事実があった場合には、その事実に基づく所得については、課税の取消しの対象とはなりませんので注意して下さい。
3.譲渡資産の部分納税と更正の請求
国外転出時課税の対象資産の全部又は一部を譲渡等をした場合納税猶予分の所得税額のうち、その譲渡等の部分の金額に応じた所得税については納税猶予の期限が確定することになります。従って譲渡等を行った者は、譲渡等の日から4か月以内に利子税と併せて、その所得税額を納付する必要があります。
この場合に、譲渡等の価額が国外転出時課税の価額より下落している場合には、国外転出時課税の価額を訂正して納付税額を算定する必要があります。
このために国外転出時課税においては、所得税の計算上再計算の規定を設けています。すなわち譲渡等をした者は、譲渡等の日から4か月以内に更正の請求をすることにより再計算としての所得税額を減額することができます。