2015年7月3日金曜日

極ZERO問題 サッポロが異議申し立て


サッポロビールが同社の製品『極ZERO』にかかる酒税約115億円の返還を求め、国税当局に対して異議申し立てをしたことが、明らかになりました。115億円は、同社が「第3のビール」として売り出した『極ZERO』に対して国税庁から「発泡酒にあたる可能性がある」と指摘を受け、酒税の差額分を自主的に追納していたもの。
1缶350ミリリットル当たりのは、麦芽が主原料で麦芽比率3分の2以上の「ビール」は77 円、麦芽比率3分の2未満の「発泡酒」は46.98円(麦芽比率が25 %未満の場合)、発泡酒に蒸留酒を加えたり、麦芽以外を原料にしたりした「第3のビール」は28 円となっています。
同社は、発泡酒と第3のビールの差額分115億円と、延滞税1億円を追加納付し、発泡酒としてあらためて『極ZERO』を発売していましたが、その後の社内調査で「第3のビールである確証が得られた」として、国税庁に対して115億円の返還を要求していました。
しかし今年4月に当局から「返還せず」との回答があったことを受けて、今回の異議申し立てに踏み切ったとみられます。
今後、申し立てを受けた当局は3カ月以内に同社に検討の結果を通知することになります。そこでも見解が覆らなければ、同社はさらに国税不服審判所に訴えることができます。両者の対立の深さから解決に至るまでは時間がかかることが予想されるところです。

2015年7月2日木曜日

「二重非課税防止」の実務


二重非課税防止の趣旨について、具体的に創設された規定としては「出国時の譲渡所得課税の特例制度」があり、この規定が平成27年7月1日以後の国外転出者に適用されることになっています。この新設規定の主たる内容は、次のとおりです。
1億円以上の有価証券等(対象資産)を保有する者が、平成27年7月1日以後に非居住者となるような国外転出した場合に未実現利益に課税することを原則とします。
②①の課税は、相続・贈与により非居住者に対象資産を取得させた場合にも同様の課税が行われます。
一時的な出国予定者又は納税資金が不十分な者は、納税管理人の届出の下で出国時までに担保を提供すれば納税猶予の特例が受けられます。
しかし、実際に適用される実務においては、主たる内容だけでは運用できませんので、ここで実務上主として必要な内容を補充しておく必要があります。
1.対象資産の実務
譲渡があったとみなした価額1億円以上の有価証券・未決済の信用取引・デリバティブ取引が対象資産となります。しかし、転出者に係る申告が、国時にいわゆる準確定申告を行う者と、税管理人を置いて出国後通常の確定申告を行う者に分かれます。そして、1億円の判定基準については、①の者は、原則として国外転出予定日から起算して3か月前の日に対象資産の決済があったものとします。②の者、国外転出時に対象資産の決済があったものとして判定基準を算定します。
2.帰国後の国外転出時課税の取消し
国外転出時課税の申告をした者が国外転出の日から5年以内に帰国し、引き続き所有等している対象資産については、国外転出時課税の適用はなかったものとして、帰国日から4か月以内に更正の請求をすることにより課税の取消しをすることができます。
 さらに、納税猶予の期限の延長の届出書を提出している場合には、5年の期間を10年に延長することができます。
 しかし、国外転出時課税に係る所得の計算につき隠ぺい又は仮装の事実があった場合には、その事実に基づく所得については、課税の取消しの対象とはなりませんので注意して下さい。
3.譲渡資産の部分納税と更正の請求
国外転出時課税の対象資産の全部又は一部を譲渡等をした場合納税猶予分の所得税額のうち、その譲渡等の部分の金額に応じた所得税については納税猶予の期限が確定することになります。従って譲渡等を行った者は、譲渡等の日から4か月以内に利子税と併せて、その所得税額を納付する必要があります。
この場合に、譲渡等の価額が国外転出時課税の価額より下落している場合には、国外転出時課税の価額を訂正して納付税額を算定する必要があります。
このために国外転出時課税においては、所得税の計算上再計算の規定を設けています。すなわち譲渡等をした者は、譲渡等の日から4か月以内に更正の請求をすることにより再計算としての所得税額を減額することができます。

2015年7月1日水曜日

チームの時間効率向上


会社全体の時間効率を高めるには、社員一人ひとりの仕事に取り組む時間効率を高め、そのやり方を社員全員に浸透させることが有効ですが、それとは別に、目標管理の共同目標のように、部署内で複数の社員がチームを組んで目標達成に取り組む場合や、大きな課題になると部署間のプロジェクトチームを編成して目標達成を図る場合があり、その時間効率向上を図る必要が生じます。
《時間効率向上の原則》
時間効率向上の原則は、社員個人の場合、①『一人ひとりにとって興味が湧く、得意技が生かせるテーマ、専門能力の向上でキャリア形成ができるなど、自己の成長機会が得られ、意欲を持って取り組めるテーマを担当させること』、②それに加えて、『テーマに対する集中度を高めるため、時間予算の重点配分を行なうこと』にありますが、チーム目標達成の時間効率を上げたい場合にもこの原則は基本的に当てはまります。
《チームの時間効率向上法》
チームとしての仕事の時間効率を高めるには、次の点に留意することが大切です。①『基本は「働き手個人の時間効率向上」にあり、日常業務で前述の方法を習慣化しておく』、②『テーマ設定の段階で、チームメンバーがテーマ発生の背景、会社にとってのニーズを理解し、その中で個々の専門技術を生かしたり、さらにその幅を広げ、高める成長機会を知って挑戦意欲を高める』、③『チームとしての活動において時間を無駄なく使い集中度を高める。そのポイントは「課題に対するチームとしての状況判断の誤りの排除」とその誤りに基づく「誤った対策の防止により、課題解決の迂回(無駄)を避けること」、状況判断の誤りを避けるには“三現主義”(現地で、現物を見て、現実に即して)で的確な状況判断を行ない、チームとして共有すること』、④『問題・課題解決の段取り、ステップを可視化して、重点的な時間配分を行なう』、⑤『チームメンバーの意欲と集中度を高め、時間効率を高めるには、チーム内での健全な競争心を引き出すことが有効であり、巧みなファシリテーションや評価・表彰のしくみを活用する』。