2015年5月30日土曜日

全法連が経理のチェックシート作成


全国法人会総連合(全法連)が、企業が自社のコンプライアンスや経理水準をチェックできる「自主点検チェックシート・ガイドブック」の「入門編」を作成し、ホームページ上で公表しました。

これまであったチェックシートでは全83項目でしたが、「企業にとってより取り組みやすいものを」との要望に応えて日本税理士会連合会(日税連)の監修のもとで、企業のガバナンス確保に必要な基本40項目+補足5項目の計45項目に絞っています。

チェックシートは「社内体制」、「貸借関係(資産科目)」、「貸借関係(負債・資本科目)」、「損益関係」、「その他」の5分野に大きく分かれ、さらに該当取引があるときのみ利用する「小切手・手形関係」、「損益関係(福利厚生費)」の補足2分野から成り立っています。

それぞれの分野で、さらに「現預金・小切手」や「棚卸資産」、「借入金」などの細かい項目ごとに、管理がしっかりとされているか、会計上の処理が正しくされているかなどを一つひとつ確認できるようになっています。

またシートには必要に応じて会社独自で設定する点検項目を追加するスペースも用意されているため、それぞれの会社で、使いやすいようにアレンジすることも可能。点検日時記入欄も複数用意されているので、一度チェックして終わりではなく、不備が見つかった点については改善計画を立てて実施し、何度も繰り返しチェックすることが重要でしょう。

もともとこのチェックシートは、中小企業の税務コンプライアンス向上を目的として、昨年に全法連が作成したもの。その「正式版」は、全83項目にわたって企業の内部統制や税務コンプライアンスの水準をチェックできるようになっています。

しかし項目数が多い分、細かいところまでチェックすることが可能になる一方で、企業の取り組みへのハードルを高くしていると指摘されていました。そうした声を受け、全法連は今回の「入門編」の作成に踏み切っています。チェック項目がより重要で基本的なことに絞られ、「正式版」に比べて手軽に活用できるようになっているわけです。

2015年5月29日金曜日

NISA投資の利益3500億円

少額投資非課税制度(NISA)専用口座での平成26年の投資総額(総買付額)約2兆9800億円に対して、年末時点の口座残高や売却額、受取配当金額などを合わせた額は約3兆3200億円と、NISA投資による〝利益〟は約3500億円にのぼることがわかりました。
金融庁が公表した「NISA口座の利用状況について」には、NISAを取り扱う全金融機関713法人に26年の制度利用状況を調査した結果がとりまとめられています。これによると、26年12月末時点でのNISA総口座数は825万3799口座で、総買付額は2兆9769億6913万円でした。
最も多く買われた商品は投資信託の1兆9440億円。上場株式9705億円、指数連動型投資信託(ETF)343億円、不動産投資信託(REIT)281億円と続きます。投資信託は上場株式と比べて長期保有する傾向が高く、その結果、上場株式の売却額は2753億円、投資信託は1084億円と、購入額で上回った投資信託がその売却額では上場株式よりも低い結果が出ました。投資信託は単純に売却するわけではなく、非課税額を確定するためにNISA口座からの課税口座への払出し(移管)をするケースも多く、約4億円が課税口座に払い出されています。
総買付額2兆9769億6913万円に対し、26年12月31日時点で口座に残っていたのは2兆7978億円。売却額が4013億円、課税口座への払出しが4億円、受取配当金額が1235億円でした。総残高、売却額、課税口座への払出し、受取配当金額を合わせると3兆3229億5644万円で、総買付額との差額は3459億8732万円。株価上昇の影響を受け、未確定分も含めて約3500億円の利益が出たことになります。

2015年5月28日木曜日

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税


《結婚・子育て資金の一括贈与の非課税創設》
平成27年4月より「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税」制度がスタートしています。
こちらは「教育資金の一括贈与」の「結婚・子育て」版です。信託協会によれば平成26年12月現在の教育資金贈与信託の契約数は101,866件、信託財産設定額合計は6,973億円だそうです。「高齢者資金を若年世代に移転する」という政策意図に見事にはまったものといえるでしょう。このような「成功例」もあり、今回の税制改正で「結婚・子育て資金」の非課税制度の創設をみた訳です。
《「通常額」を「その都度」支出する場合》
もともと、扶養義務者から「生活費」又は「教育費」として贈与を受けた場合には、①金額が通常必要と認められるものであり、②必要な都度、「生活費」「教育費」に充てられるものについては、贈与税の非課税とされています。子・孫が父母・祖父母から婚姻後の生活を営むために通常必要とされる家具什器等の購入資金とするために贈与した場合もこれにあたります。また、結婚式や披露宴の費用を親などが負担した場合も、式・披露宴の内容や招待客との関係、地域の慣習の事情に応じて、本来負担すべき者に分担されている場合には、贈与に当たらないこととされています。
《「一括贈与」のニーズの高まり》
ただし、「将来の結婚のために渡しておきたい…」という場合には、「通常額」を「その都度」という要件にあたらないため、贈与税の課税対象となってしまいます。このような「一括贈与」を対象として設けられたのが今回の非課税制度です。
20歳以上50歳未満の方が「結婚・子育て資金」に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、直系尊属(父母や祖父母)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預け入れた場合、又は③書面による贈与により取得した金銭等により証券会社で有価証券を購入した場合には、それらの価額のうち1,000万円までの金額については、金融機関等の営業所等を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出することにより贈与税が非課税となります。

2015年5月27日水曜日

国外転出する場合の譲渡所得等の特例を創設!


2015年度税制改正において、海外移住する場合には、株式などの含み益に課税する「国外転出する場合の譲渡所得等の特例」が2015年7月より創設されます。
この背景には、富裕層が巨額の含み益を有する株式等を保有したまま、シンガポールや香港などのキャピタルゲイン非課税国に出国し、税負担を回避する事例が増加傾向にあるためだとみられております。
日本国内における株式売却益には20.315%の税金がかかります。
一方、租税条約上、株式等のキャピタルゲインについては、株式等を売却した者が居住している国に課税権があるとされております。そこで、金融資産の売却益に課税しないシンガポールや香港、スイスなどに移住すれば税金がかからないことになり、こうした節税策が増加傾向にあるといいます。
アメリカ、ドイツ、フランス、カナダ、イギリスなど先進諸国においては、出国時に未実現の含み益に対して特例的に課税する措置等を講じていますが、日本で創設される特例は、株式などの金融資産の合計が1億円以上の者が対象となります。出国時に、金融資産の時価から取得費用を差し引いた金額が課税されます。
ただし、国外転出後、5年以内に帰国した場合は特例を取り消したり、海外転勤などで日本へ戻る予定の場合は納税が猶予されます。特例の適用を受けて課税された人が、5年以内に帰国した場合で、出国時の金融資産を引き続き保有していたものは、帰国した日から4ヵ月以内に更正の請求をすることで出国時に課税された税金が戻ってきます。
また、転勤などで一時的に海外に住み、金融資産を売却せずに日本に戻る予定の人は、納税猶予の届出をすれば、国外転出日から原則5年間、その納税が猶予され、納税猶予の期限は、最大5年の延長も認められます。
なお、贈与や相続、遺贈によって海外の非居住者に金融資産が移転する場合の取扱いも定めております。この特例の対象者の金融資産が、贈与や相続、遺贈によって非居住者に移転した場合には、その贈与や相続、遺贈のときにおける価額に相当する金額によって、その株式等の譲渡等があったものとみなして、事業所得の金額や譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することとされます。

2015年5月26日火曜日

年金事務所等の事業所調査


(社会保険の算定基礎届に関する調査)
毎年、年金事務所で7月に算定基礎届提出の際に行われている調査は、今年も例年通り多くの企業が対象として選ばれます。4年(場所によっては6年)の間に全国の年金事務所は管轄の企業を一通り調査しますので一昨年、昨年と選ばれなかった企業も今年か来年に選ばれる可能性があります。
(行政機関にも横のつながりが)
近年の行政の調査においては年金事務所の算定基礎届に限らず、労働基準監督署でも頻繁に行われています。今まで縦割りと言われていた行政の機関ですが、これまでのものとは若干異なり年金事務所と労働基準監督署による合同調査が行われるケースも見受けられるようになりました。合同とまではいかなくとも、例えば外国人労働者に関してハローワークと入国管理局、年金記録については年金事務所と市区町村が連携を見せており、社会保険未加入事業者は年金事務所と法務局を通して登記情報の提供を受け始めている等、共有化が進められています。年金事務所はハローワークや地方運輸局の社会保険加入状況を受ける事ができるので以前より社保未加入事業者の把握は早くなっています。
(自主的加入と強制加入の違い)
国土交通省は建設業者の社保加入率の低さが大きな問題となっている事から、平成29年までに100%の事業者が社保加入するよう指導を始めています。建設業許可や更新時、現場立入検査、経営事項審査の際に社保加入状況を確認し未加入であれば加入の指導をし、自主的な加入を促しています。指導にもかかわらず未加入のままでいると不適切な事業者とみなされ、職権により加入させられる場合があります。建設業に限らず、会社が自主的に加入する時は受付の日からの加入となりますが、強制加入させられた時は最長2年の遡及加入となるので社会保険料も遡り払いで、その負担は非常に大きいものとなってしまいます。
調査があるから加入すると言うものではありませんが、マイナンバー制度導入で法人番号が行政の横のつながりで分かり易くなると調査の範囲も広げられてくるかもしれません。

2015年5月25日月曜日

IoTがもたらす変化


IoT(Internet of Things)という言葉をよく耳にするようになりました。日本では「モノのインターネット」と訳されており、あらゆるモノがインターネットに接続することを意味します。これまで、インターネットに繋がるものといえば、PCや携帯電話、スマートフォンなど、限られたもののみでした。それが、IoTでは、テレビや洗濯機などの家電や自動車、さらには時計や洋服、テニスラケットといった身の回りのものまでが、インターネットに繋がるようになります。くわえて、自動車だけでなく、パーキングメーターといった付随するものや各家庭に取り付けられた電力メーターなど、さまざまなモノが対象となるのが特徴です。
なぜ、いま、IoTが注目されるのでしょうか。大きな理由は、さまざまなモノがインターネットに接続が可能になったことで、以前にはない、モノを介したサービスが提供できる点にあります。結果、企業にとっては、新たなビジネスチャンスが期待できます。
IoTは、世界のなかでも米国が進んでおり、すでに実証実験やサービス開発に取り組んでいる企業が多くあります。米国のITベンダー企業では、サンフランシスコの路上にあるパーキングメーターをインターネットにつなぎ、駐車スペースに関するデータを収集することで、空き状況を可視化しています。このシステムにより、パーキングの利用者は空いている駐車スペースを探すのに、多くの時間をかけなくてもすむようになりました。また、パーキングメーターの会社にとっては、スペースの空き時間を減らし、稼働率をあげられるといったメリットが生まれます。
IoTによりさまざまな変化が起こる可能性があります。自動車がインターネットにつながり、個々の位置情報が正確にわかるようになれば、渋滞をしている地域が明らかになります。結果、ドライバーは比較的空いている道を選んで走行できるようになるので、渋滞解消にもなります。
Tシャツがインターネットにつながるとどうなるでしょうか。シャツにセンサーを埋め込むことで、歩行距離、カロリー消費量、心拍数などのデータを収集できるようになります。このデータをインターネット上にある解析アプリケーションにつなげれば、自身の健康に役立つ情報を得られるようになります。
ほかには、テニスラケットをインターネットに繋げることも可能です。グリップ部分にセンサーを埋めることで、ボールの速度やインパクトなどのデータが収集でき、ユーザーがプレーを改善するための情報を得ることができるようになります。また、家庭用電力メーターについては、電気の使用量がリアルタイムでわかるようになり、節電に役立てることができます。
ただし、こうしたインターネットに繋げるという概念は「ユビキタス」などをはじめ、これまでもありました。IoTがユビキタスと違うのは、ユビキタスはエアコンなどの家電製品を対象にしている点にあります。
IoTは家電だけでなく、自動車や各種メーター、時計などの日用品まで、あらゆるものが繋がるところに違いがあります。したがって、その分、サービスの規模も大きくなります。IoTを活用して、他社が取り組んでいないオリジナルのサービスを開発することは、競合に対し優位に立つ機会にもなります。
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター

2015年5月24日日曜日

政党助成金の交付額が決定


政党助成法に基づいて交付される政党助成金の平成27年分の総額は、約320億1400万円であることが分かりました。総務省がこのほど各政党への配分額を決定したものです。昨年末の衆院選で大勝した自民党へは約170億4900万円が交付され、同党への交付額としては過去最高額となりました。
政党助成金制度は、国民1人あたり250円の負担をベースに、人口数を掛けた総額が議員数などに応じて配分される仕組み。「直近の選挙での2%以上の投票率」と「国会議員が5人以上いること」の2点を満たす政党が受け取ることができます。これまででもっとも配分額が大きかったのは政権奪取直後の平成22年の民主党で、171億500万円となっています。
同制度は政治腐敗の温床とされた企業・団体献金を廃止するかわりとして平成7年に開始されましたが、政治献金はその後も廃止されず、「右手に献金、左手に助成金」という二重取りの構図が20年にわたって続いています。また、政党の収入における助成金の比率が高まるという「助成金依存」の体質も問題視されていますが、安倍晋三首相は去年12月に同制度について「純然たる税金であるから、厳しい内規を決め、それにのっとって支出している」としたうえで、「当面は活用させていただきたい」として維持する考えを示しています。

2015年5月22日金曜日

スキャナ保存制度を見直しへ!


2015年度税制改正では、税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直しが盛り込まれております。
財務関係書類や税務関係書類等の国税関係書類の電子保存は、1998年7月に導入された電子帳簿保存法で可能となり、2005年4月には改正法が施行され、それまで認められていなかった契約相手方が作成した「紙」による領収書や契約書なども記載金額が3万円未満のものはスキャナによる電子データ保存ができるようになっておりました。
今回の見直しにより、スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(現行3万円)を廃止し、3万円以上の契約書や領収書もスキャナ保存ができるようになります。
この際、契約書や領収書、資金移動等直結書類(納品書・約束手形等)の重要書類については、適正な事務処理の実施を担保する規定の整備とこれに基づき事務処理を実施していることが、スキャナ保存に係る新たな要件とされます。
上記の「適正事務処理要件」とは、内部統制を担保するために、相互けん制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規定等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施していることをいうとされております。
また、スキャナで読み取る際に必要とされている入力者等の電子署名を不要とし、これまでどおりタイムスタンプを付すこととするとともに、入力者等に関する情報の保存が要件とされます。
重要書類以外の見積書や注文書等の一般書類についても、スキャナで読み取る際に必要とされているその書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、カラーでの保存を不要とし、白黒での保存でも要件を満たすこととされるなど、要件が緩和されます。地方税関係書類でも同様の対応を行い、これらの見直しは、2015年9月30日以後に行う承認申請について適用されます。
スキャナ保存制度は、2005年に導入され、一定の要件のもと一部の書類をスキャナで読み取り保存することが認められていましたが、スキャン前やスキャン後に求められる要件が数多くあり、その煩雑さを嫌って2013年までの間に国税当局からスキャナ保存の承認を受けた件数は、133件にとどまっておりました。

2015年5月21日木曜日

2015年度税制改正:車体課税の見直しについて

2015年度税制改正における車体課税の見直しは、購入時や車検時のエコカー減税の基準を引き上げ、低燃費車に減税が重点適用されます。

車の購入時に、普通車は購入額の3%、軽自動車は2%の自動車取得税がかかりますが、現行制度では、国土交通省が定める2015年度の燃費基準を達成すれば60%減税、10%上回れば80%減税、20%上回れば免税と3段階で減税されます。
そして、この燃費基準が2020年度基準に引き上げられます。これによって、免税となるには、2020年度燃費基準を20%上回る必要があり、10%上回れば80%減税、達成すれば60%減税となります。
2015年度基準も引き継がれますが、10%上回れば40%減税、5%上回れば20%減税となります。購入時と車検時にかかる自動車重量税についても、2020年度基準を適用し、20%上回れば免税、10%上回れば75%減税、達成すれば50%減税、2015年度基準は5%上回れば25%減税となります。
軽自動車については、2015年4月から2016年3月までに新規取得した四輪以上及び三輪の軽自動車(新車に限る)について、その燃費性能に応じたグリーン化特例(軽課)が導入されます。購入後2年目の軽自動車税は、電気自動車等が75%減税、2020年基準を20%上回れば50%減税、達成すれば25%減税となります。この特例については、自動車税・軽自動車税における環境性能割の導入の際に自動車税のグリーン化特例とあわせて見直されます。
これまで軽自動車税には、低燃費車を優遇するエコカー減税がありませんでしたが、2015年4月から購入する新車は、買った翌年度から毎年支払う軽自動車税が、2年目は電気自動車等が75%減の2,700円に、四輪以上の自家用車は2020年度基準を20%上回れば50%減税の5,400円に、基準を達成するだけでも25%減税の8,100円にそれぞれ軽減され、この軽自動車税の特例措置は、新車の約9割が対象になるとみられております。

2015年5月20日水曜日

「極ZERO」追納分の115億円返還されず

サッポロビールの商品『極ZERO』をめぐって、納め過ぎていたとして税金約115億円の返還を求めていた問題で、同社は国税庁から「返還しない」と通知されたことを明らかにしました。この115億円は、サッポロが「第3のビール」として売り出した『極ZERO』に対して国税庁から「発泡酒にあたる可能性がある」と指摘を受け、酒税の差額分を自主的に追納していたものです。

『極ZERO』は平成25年に発売されました。順調に売り上げを伸ばしていましたが、26年1月に国税庁から「『極ZERO』が第3のビールではなく(税率の高い)発泡酒にあたる可能性がある」として製法を照会されました。
ビール類は原材料や製法の違いで税額が異なり、1缶350ミリリットルあたり、麦芽が主原料で麦芽比率3分の2以上の「ビール」は77円、麦芽比率3分の2未満の「発泡酒」は46.98円(麦芽比率が25%未満の場合)、発泡酒に蒸留酒を加えたり、麦芽以外を原料にしたりした「第3のビール」は28円となっています。
国税庁の指摘を受けた時点で発泡酒であるとの断定はできなかったものの、確認に時間がかかれば追徴課税の額が膨らむと判断し、同社は26年6月に『極ZERO』の販売を休止。酒税の差額分115億円と、延滞税1億円を追加納付し、その後、発泡酒としてあらためて『極ZERO』を発売していましたが、今年1月に入って、同社は社内調査で第3のビールである確証が得られたとして、国税庁に対して115億円の返還を要求したことから、注目が集まっていました。
返還を拒否した理由は明らかにされておらず、同社は「内容を精査した上で、外部の専門家も含めて対応を検討したい」とコメントしています。業界内外に衝撃を与えた『極ZERO』問題はまだ続きそうです。

2015年5月19日火曜日

税負担が増える「特定空き家」とは?

倒壊の危険性や衛生的な問題がある空き家(特定空き家)に対して、自治体が解体の行政代執行をできる規定を盛り込んだ「空き家対策措置法」の全面施行を前に、勧告や代執行の対象になる「特定空き家」の判断基準案を国土交通省が明らかにしました。
特定空き家への国の取り組み方針を規定した「空家等対策の推進に関する特別特措法」(空き家対策措置法)の一部が2月26日に施行され、自治体は空き家の所有者を迅速に特定するため、固定資産税の課税情報を利用できるようになりました。そして空き家対策措置法は5月26日に全面施行されます。
全面施行後は、自治体が特定空き家の所有者に対して、除却・修繕・立木の伐採といった助言、指導、勧告、命令ができるようになります。さらに、改善を促したにもかかわらず放置を続けた場合には行政代執行による解体も認められます。解体費用は取り壊し後に改めて所有者に請求することになるそうです。
空き家の所有者は税負担がこれまでの6倍になる可能性も考慮しなければなりません。地方税法上、家屋が建っている敷地は「住宅用地」として敷地200㎡以下の部分の課税標準額が更地(固定資産税評価額)に比べて6分の1になる特例があります。たとえ空き家であってもこの特例は適用されるため、解体費用だけではなく税金面の負担も考えて、空き家のまま放置している持ち主は多かったのです。しかし空き家対策措置法では、この税優遇を一定の空き家には適用しないという改正を盛り込みました。
行政の指導や勧告、解体命令の対象になる特定空き家に該当するかどうかの判断基準は、国土交通省がこのほど公表した資料「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)(案)」で明らかになっています。これによると、「ネズミやハエ、シロアリの大量発生」「多数の窓ガラスが割れたまま放置」「外壁が目視でも確認できるほど脱落しそうな状態」などの場合に特定空き家として判断されることになりそうです。

2015年5月16日土曜日

制裁金の受取りは課税所得?

諫早湾の干拓事業をめぐる訴訟で、原告側の漁業者が国から受け取った〝制裁金〟に対して国税庁が所得税を課税する見解を示していることが分かりました。漁業者側は所得にはあたらないと反発しています。

諫早湾をめぐっては、国による干拓事業のせいで海産物が獲れなくなったとして漁業者側が国を提訴し、福岡高裁が開門調査を命じる判決を平成22年に出しています。しかし開門すると堤防内にある調整池の水が使えなくなるため、農業に被害が出ると主張する営農者らもいて、長崎地裁は開門差し止めの仮処分という逆の判断を下していました。
こうした経緯を受けて国が開門を行わないため、漁業者側が訴えを起こしたところ、佐賀地裁は国に制裁として支払うべきお金について命じました。漁業者側が受けるこの〝制裁金〟は26年6月から原告1人あたり1日1万円が支払われ、今年3月からは倍額の2万円が支払われています。支払われた制裁金は今年3月末時点で計1億3500万円に上りますが、今後の司法判断次第では返納を求められる可能性があるため、漁業者側は制裁金を配分せずに弁護団長の個人口座にプールしているそうです。
国税庁はこの1億3500万円が「漁業者の個人所得にあたる」として、昨年夏に漁業者側に所得税の納付義務があるとする見解を通知しました。漁業者側は申告したものの、国の制裁金が所得にあたるとの判断には反発。弁護団の馬奈木昭雄団長は「脱税を回避するために申告はしたが、いずれ争うつもり」とコメントしています。
所得税法では損害賠償金などを非課税対象とする除外規定がありますが、制裁金についての規定はありません。

2015年5月14日木曜日

国税庁:2013事務年度、源泉所得税の課税事績を公表!

国税庁は、2014年6月までの1年間(2013事務年度)における源泉所得税の課税事績を公表しました。
それによりますと、同事務年度における源泉所得税額は14兆8,243億円で、1兆4,707億円(前事務年度比11.0%)増加しました。主な所得についてみてみますと、「給与所得」は4,199億円(同4.6%)増の9兆4,812億円となり、税額全体の64.0%を占めました。

また、「配当所得」の税額が4,836億円(同22.6%)増の2兆6,225億円、「特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等」が4,711億円(同1,048.9%)増の5,160億円、「報酬料金等所得」が79億円(同0.7%)増の1兆1,710億円、「利子所得等」が240億円(同5.5%)増の4,607億円、「非居住者等所得」が804億円(同29.9%)増の3,491億円と、「退職所得」の2,239億円(同6.7%減)以外のすべての項目が増加しました。
源泉徴収義務者数の状況をみてみますと、2014年6月30日現在において、「給与所得」は、「本店法人」の源泉徴収義務者数は230万2千件(前事務年度比0.1%増)、「支店法人」が2万8千人(同0.2%増)、「官公庁」が1万2千人(同1.5%減)、「個人」が108万5千人(同1.9%減)、「その他」が11万7千人(同0.1%増)で、給与所得合計では354万3千件と、前事務年度に比べて1万8千件(0.5%)減少しております。
また、「利子所得等」の源泉徴収義務者数は4万件(前事務年度比0.8%減)で、「配当所得」の源泉徴収義務者数は13万1千件(同1.9%増)、「特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等」の源泉徴収義務者数は1万1千件(同0.1%減)、「報酬料金等所得」の源泉徴収義務者は281万9千件(同0.3%減)、「非居住者等所得」の源泉徴収義務者数は3万1千件(同10.4%増)となっております。

2015年5月13日水曜日

財務省:租税特別措置の適用実態調査結果に関する報告書を公表!

財務省は、「租税特別措置の適用実態調査結果に関する報告書」を公表しました。
それによりますと、2014年3月までの1年間に終了した事業年度(2013年度)に、適用額明細書の提出があった法人は、前年度から6.3%増の101万5,000法人(うち連結法人が764法人)でした。
適用額明細書とは、租特透明化法に基づき、法人が法人税関係特別措置の適用を受ける場合に、その特別措置の条項や適用額等を記載して、法人税申告書に添付・提出を義務付けられたものです。


2015年5月12日火曜日

専業主婦の年金に新しい手続きが開始

《特例期間該当届・特例追納制度》
今までサラリーマンの配偶者に扶養されている専業主婦(主夫)で国民年金の3号被保険者であった人が1号被保険者への切替の事由が発生した際に手続きを忘れていて、気がつかないうちに保険料未納期間になってしまっていたようなケースが多々ありました。後から気がついても保険料納付遡り期間は2年間とされていたためそれより前の期間は納める事ができませんでした。

2015年5月10日日曜日

会社の休眠とみなし解散

「会社の休眠とは?」
営業を現在はしていないが、いつか営業を再開するかもしれない。そんな会社を「休眠」させる事ができます。「異動届出書」に休眠である旨を書き、税務署・都道府県税事務所・市役所に提出する事で、休眠会社にする事ができます。

2015年5月9日土曜日

飯山市で市民の申告書が流出

長野県飯山市は4月22日、市民の住所や氏名、収入などが記載された確定申告書が外部に流出したことを受け、足立正則市長、月岡寿男副市長、長瀬哲教育長3人の給料を減額し、同市の税務課に関係する職員10人を同日付で減給・戒告処分とすることを発表しました。足立市長、月岡副市長は2カ月の減給10%、長瀬教育長は1カ月の減給10%とする条例改正案が市議会に提出されます。


2015年5月8日金曜日

マイナンバー個人用サイトは「マイナポータル」

自分のマイナンバーが誰にいつ提供されたかの履歴を調べたり、自分の登録情報を確認したりできるマイナンバーの個人用システムの名称が「マイナポータル」に決定しました。これまで「情報提供等記録開示システム」や「マイポータル」などの仮称で呼ばれていましたが、今後は「マイナポータル」で統一されます。

2015年5月7日木曜日

最近話題のふるさと納税

『ふるさと納税をしている人が増えている』
ふるさと納税制度は納税者が、住んでいる場所以外の自治体に寄付し、寄附金控除として後に税金を軽減する、つまり住んでいる場所の他に納税できるという制度です。
各自治体が「寄附のお礼」として、地元の特産品を提供し、「寄附したお金は税金を払った扱いになる上、物が貰える」という事で、あまり節税対策等に縁が無かったサラリーマンを中心に、お得な制度として近年脚光を浴びています。

2015年5月1日金曜日

『調査手続』と『事前通知』の見直し

『調査手続』の見直し
平成27年度の国税通則法の調査手続の改正(国通法74の11)により、①実地調査の結果の「更正決定をすべきと認められない通知」の後、②国税に関する調査の結果、修正申告、期限後申告の提出、もしくは源泉徴収による所得税の納付があった後、③更正決定等をした後、すなわち、①~③の処理後に再調査のできる要件としては、実地の調査のうえ「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるときは」、再調査の実施ができることに規定されました。