2015年1月23日金曜日

法人税法上の繰延資産に注意!

法人が建物等を賃借する場合には、契約により保証金を支払うことが多いですが、その契約には、「保証金のうち退去時には○%は返還しない」と記載されていることがあります。


この場合、保証金のうち退去時に返還される金額相当額は保証金として資産計上する一方、保証金のうち返還されない金額相当額(いわゆる権利金)は、税務上は一時の費用とはならず、繰延資産として資産計上し、その効果の及ぶ期間において費用化します。

法人税法では、法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものを繰延資産としますので、ご注意ください。


具体的には、会計上の繰延資産である株式交付費・社債等発行費・創立費・開業費・開発費と、
①公共的施設等の負担金(アーケードの日よけなど)
②資産を賃借するための権利金等
③役務の提供を受けるための費用
④広告宣伝用資産を贈与した費用などの法人税法上の繰延資産があります。
資産を賃借するための権利金等では、建物を賃借するために支出した権利金(更新料を含む)、電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費用などがあります。


また、広告宣伝用資産を贈与した費用では、看板、ネオンサイン、ディスプレイケースなどの贈与費用があります。
法人税法上の繰延資産では、そのほか、その他自己が便益を受けるための費用として、同業者団体への加入金などがあります。


税法独自の繰延資産については、償却期間及び償却方法ともに定められており、償却限度額を超える部分については、法人税法上は費用とすることはできません。


例えば、権利金50万円を法人が一時の費用としても、税法では5年間(賃借期間が5年未満で、更新時に権利金等を支払う契約になっているときは、その契約期間)で費用化することになり、減価償却超過額については、税金の計算上は費用になりません。


ただし、支出額が20万円未満の少額な繰延資産については、一時の費用とすることができます。


中小企業者等には、取得価額30万円未満の減価償却資産について一時の費用とする制度がありますが、繰延資産については20万円未満となっていますので、ご注意ください。





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