2014年11月8日土曜日

【時事解説】競争から提携へ

先般、東京電力と中部電力が火力発電分野の提携に基本合意したとの新聞報道がありました。同じ電力業界におけるライバルですから、その両社が共同で事業を行おうとすることに意外な感じを持った方もいたのではないかと想像します。

しかし、考えてみれば、原発問題や電力の自由化等で業界環境が厳しいことは誰の目にも明らかなのですから、これまでとは違う発想でコスト削減に取り組むのは当然のことです。東京電力と中部電力はそれぞれの地元で圧倒的シェアを握るガリバー企業です。こうした大企業ですら、こうした大胆な改革に取り組もうとしているのですから、体力の劣る中小企業も考えなければなりません。

人口はあらゆる消費の基礎になります。人口が増えていれば消費は増加しますから、マーケットは拡大します。マーケットが拡大しているときには、多少経費はかかろうとも、拡大するマーケットから自社の売上をできるだけ多く獲得することに最大限の力を注ぐべきです。競争することにより、お互いが強くなれる時代といえます。

しかし、そうした古き良き時代は過ぎ去り、我が国は人口減少時代に突入しました。人口が減れば、マーケットは確実に縮小します。全体のマーケット縮小に歯止めをかけることは一企業の努力でできるものではありません。企業としては経費削減にさらなる努力が求められます。経費削減も単体企業でできることはもう既に十分にやっているはずですから、今度は企業の枠を超えた複数の企業による共同での経費削減という段階に入っているのではないかと思います。

同じ地域で、同種の事業を行っている企業が複数ある場合、それらの企業が共同することにより経費節減できる余地があるかもしれないのです。究極的な経費節減手法は合併や持株会社化などの経営統合です。経営統合すれば、人事、経理などの間接部門の効率化や営業力の強化も可能です。

しかし、経営統合は容易ではありません。特に、非上場企業では会社の支配権の問題がからみます。一方の企業のオーナーが経営権を完全に譲ることを決めていれば、話は簡単です。しかし、参加する企業それぞれが経営権を維持しようとすると、株式シェアや役職ポストの問題もあり、経営統合は簡単ではありません。

経営統合を行おうとすると、その合意は大変難しいのですが、各社の経営面には手を触れず、東京電力と中部電力のようにある特定の事業に絞り共同化するというのは非上場企業にとっても有力な選択肢です。


これからの経営環境は楽観できません。というより、益々厳しくなると考えた方がいいでしょう。自社の現状を踏まえ、将来を展望したとき、単独での事業継続が難しいと判断されれば、企業の枠を超えた経営の効率化も本格的に検討すべき時に来たといえると思います。

「昨日の敵が今日の友」です。難しい時代ですが、大胆な発想の転換が求められます。

記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター